Japan Luggage Express
Japan Luggage Express Ltd.

塩川雅広氏の経歴

塩川雅広氏の経歴

京大発・潰瘍性大腸炎研究の第一人者

京都大学大学院医学研究科・医学部附属病院の消化器内科で活躍する塩川雅広氏は、難病「潰瘍性大腸炎」の発症メカニズム解明や血液診断キット開発で世界的に注目されている研究者である。2025年11月22日放送の「正義のミカタ」出演をきっかけに、研究費不足やドラッグラグの問題を訴えたことでも話題になった。

本記事では、公開情報に基づき塩川雅広氏の経歴・学歴を時系列で整理し、研究者としての歩みと主要な業績をわかりやすくまとめる。


1. 塩川雅広氏のプロフィール(所属・専門)

  • 氏名:塩川 雅広(Masahiro Shiokawa)
  • 所属:京都大学大学院医学研究科/京都大学医学部附属病院 消化器内科
  • 職位:助教(2022年度〜)、2025年から病院講師も兼務とされる
  • 学位:博士(医学)
  • 専門分野:消化器内科学、炎症性腸疾患、自己免疫・自己抗体研究

塩川氏は、臨床医として患者に向き合う一方で、自己抗体や免疫の視点から「治らない病気を根本から治す」ことを目標に研究を進めてきた医師・研究者である。


2. 学歴・職歴の時系列まとめ

公開されている研究者データベースやプロジェクト公式プロフィールをもとに、塩川氏の歩みを年代順に整理する。

1997年〜2003年:京都大学医学部で学ぶ

  • 1997年:京都大学医学部医学科に入学
  • 2003年:京都大学医学部医学科を卒業

医師の道を志して京都大学へ進学し、医学部で基礎・臨床の両面を学んだ。卒業後は医師として臨床の現場へ進む。

2003年〜2010年:臨床医として消化器内科を選択

  • 2003年頃〜:消化器内科医として研鑽

卒業後は一般内科を経て消化器領域を専門にし、臨床経験を積み重ねたとされる。臨床現場で「治せない病気の存在」を実感したことが、後の研究志向につながった。

2010年〜2014年:京都大学大学院博士課程へ

  • 2010年:京都大学大学院医学研究科博士課程(医学専攻/消化器内科学領域)に進学
  • 博士(医学)取得

臨床を続けながら基礎研究にも本格的に取り組む段階に入る。消化器疾患や自己免疫性疾患に関する研究を深め、以後の研究キャリアの基盤を作った。

2014年〜2016年:京大病院・消化器内科で医員(臨床+研究)

  • 2014年:京都大学医学部附属病院 消化器内科 医員
  • 2015〜2016年:同院・同講座で臨床・研究を継続(医員・その他の職位として記録)

臨床医として病院業務を担いながら、研究も並行して推進するスタイルを継続した時期である。

2017年〜2018年:神戸大学で特別研究員(ポスドク)

  • 2017年〜2018年:神戸大学 大学院科学技術イノベーション研究科/医学研究科 特別研究員(PD)

京大以外の研究環境で経験を積み、自己抗体研究など専門領域をさらに発展させた。

2019年〜2021年:京大に戻り「特定病院助教」として研究を加速

  • 2019年〜2021年:京都大学 医学研究科 消化器内科 特定病院助教

炎症性腸疾患、特に潰瘍性大腸炎の病因研究を大規模に進める拠点的な時期で、後述の「世界初の発症メカニズム発見」へつながっていく。

2022年〜現在:京大・消化器内科 助教/病院講師

  • 2022年〜:京都大学 医学研究科/医学部附属病院 消化器内科 助教
  • 2025年〜:病院講師も担当とされる

若手研究リーダーとして研究チームを牽引。学内外の共同研究や産学連携を進め、診断・治療の実用化に向けた活動がより強まっている。


3. 主要な研究業績と社会的インパクト

塩川氏の経歴が注目される最大の理由は、潰瘍性大腸炎をめぐる世界的成果にある。ここでは代表的な業績を整理する。

3-1. 潰瘍性大腸炎の発症メカニズムに関する発見(2021年前後)

塩川氏ら京大消化器内科の研究チームは、潰瘍性大腸炎の患者血液中に抗インテグリンαvβ6自己抗体が存在することを突き止め、これが病態と関わる重要な自己抗体であることを報告した。これは発症メカニズム理解を一段進める発見として評価されている。

3-2. 血液で診断できる「潰瘍性大腸炎診断キット」の開発

従来は内視鏡に依存していた潰瘍性大腸炎の診断に対し、塩川氏らは血液中の抗インテグリンαvβ6自己抗体を測定するELISA診断キットを開発。EUでは2025年11月に体外診断薬としての認証(IVDR)を取得し、臨床での使用が可能になった。

この成果は、患者負担の軽減、早期診断の促進、医療の効率化に直結する臨床的価値が高い研究として注目される。

3-3. 産学連携・スタートアップへの挑戦

塩川氏は研究成果を「論文で終わらせず治療へつなげる」ことを重視し、京都大学イノベーションキャピタル(iCAP)の支援を受けながら、潰瘍性大腸炎の根治薬開発に向けたスタートアップ**Link Therapeutics(リンク・セラピューティクス)**の立ち上げにも関与している。

大学研究と医療現場、さらに事業化をつなぐ動きは、近年の「大学発創薬・診断」の代表例として評価されている。


4. テレビ出演で語られた問題意識

2025年11月のテレビ出演で塩川氏は、

  • 研究費が十分確保できないこと
  • 申請手続きの重さで研究時間が削られること
  • 海外では承認されている診断・治療が日本で遅れる「ドラッグラグ」

を率直に指摘した。

世界レベルの研究が日本発で進んでいるにもかかわらず、制度面・資金面が研究のスピードや実装を妨げているという現状の訴えは、多くの視聴者の共感を呼び、研究政策への関心を高めるきっかけとなった。


5. まとめ|臨床と研究の両輪で「難病を治す」道を進む研究者

塩川雅広氏の経歴を振り返ると、

  • 京大医学部卒後、臨床医としての経験を土台に
  • 博士課程で研究を本格化し
  • 京大・神戸大で自己抗体研究を磨き
  • 助教として潰瘍性大腸炎の病因解明と診断法開発に到達
  • さらに創薬・診断の実用化へ踏み出した

という一貫した流れが見える。

潰瘍性大腸炎のような難病に対し、「原因の解明 → 診断の革新 → 根治治療の開発」までを本気でつなげようとしている点が、塩川氏の最大の特徴と言えるだろう。

今後、日本での診断キット承認や治療法の臨床応用が進めば、塩川氏の研究はさらに大きな社会的影響を持つはずである。

 

Leave a Reply