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京都の中国人は減ったか?

京都の中国人は減ったか?

――中国政府の対日渡航自粛の影響と、京都インバウンドの“いま”

高市早苗首相の台湾有事に関する発言をめぐって日中関係が急速に冷え込み、中国政府が自国民に対して日本への渡航を控えるよう呼びかけたことで、

「京都の中国人観光客は本当に減ったのか?」

という点が大きな関心になっています。

結論から言うと、京都では“減り始めた”と見られる現場のサインが出ています。 ただし、それは「日本全体で一気にゼロに近づいた」という極端な話ではなく、

  • もともと回復基調にあった中国人需要が、
  • 緊張をきっかけに“急ブレーキを踏み始めた”

というイメージが近い状況です。

この記事では、

  • 京都で起きている変化
  • なぜ減り方に“まだら模様”が出るのか
  • 今後の見通し

を整理します。


1. そもそも京都にとって中国人観光客はどれくらい大きい存在か

京都のインバウンドの中で、中国人観光客は長らく“主力の一つ”でした。

  • 外国人観光客の中で大きな比率を占める
  • 団体旅行だけでなく個人旅行(FIT)も多い
  • 宿泊・買い物・体験系での消費額が高い

という特徴があり、京都の観光産業に与える影響は非常に大きい市場です。

実際、2025年に入ってからの中国人訪日客は、全国ベースでみると

  • 2024年より大きく回復
  • 2019年(コロナ前)の水準を上回るペースで推移

していました。

つまり今回の騒動は、回復の途中で急に横風が吹いた形と言えます。


2. 京都では「中国人観光客が減り始めた」現場の証言が出ている

2025年11月中旬の中国側の対日渡航自粛(旅行注意喚起)以降、京都の観光地では

  • 中国語が聞こえる頻度が目に見えて減った
  • 中国人団体のキャンセルが発生している

という報道・現場の声が出ています。

紅葉シーズンの京都で、観光地や宿泊業者が

「日中関係の冷え込みで中国人客が急減し始めている」

と語っている状況です。

これは“肌感覚の話”に見えるかもしれませんが、京都のように中国人比率が高かった都市では、現場の変化として十分に把握できるレベルの動きだとされています。


3. ただし「一律に減っているわけではない」理由

今回の減少傾向は、京都全体で同じ強さで出ているわけではありません。 そこにはいくつかの理由があります。

3-1. FIT(個人旅行)の割合が増えている

中国人訪日客は、以前のような“団体ツアー中心”から

  • 個人旅行(FIT)
  • リピーター

中心に変化してきました。

団体旅行は

  • 旅行会社が販売停止・中止をすると一気に減る

一方、個人旅行は

  • すでに航空券・宿を取っている人は来る
  • 富裕層は政治リスクを気にしにくい

など、減り方が“ゆっくり・まだら”になります。

そのため、

「団体の動きは急減、個人客は残る」

という二層構造が起きやすいのです。

3-2. 紅葉シーズンの“直前キャンセル”が集中しやすい

11月の京都は季節的に需要が最大化する時期です。

  • 直前まで様子を見てキャンセルする人が多い
  • 旅行会社も一斉に冬以降の販売を止めやすい

ため、政治要因の影響が短期間で表面化しやすいタイミングでした。

3-3. 代替市場(韓国・台湾・欧米豪など)が強く、見えにくい

2025年の京都は、中国以外の市場が非常に好調でした。

  • 韓国
  • 台湾
  • 欧米豪
  • 東南アジア

の伸びが強く、総数としての外国人観光客は多いままです。

そのため、京都は

「全体は混んでいるのに、中国人だけ減った」

という“局地的な変化”として現れます。


4. 今回の動きはどこまで続くのか

4-1. 短期的には減少が続く可能性が高い

中国側は旅行注意喚起と同時に

  • 航空券の無料キャンセル措置
  • 日本路線の減便
  • 旅行会社の販売停止

が連動したため、冬場(12月〜春節前後)にかけての中国人訪日は数字として落ち込みやすいと見られます。

京都は

  • 定番ルート
  • 団体旅行の目的地

であるだけに、影響が先に出やすい都市です。

4-2. ただし“関係改善で戻る”スピードも早い

過去の日中関係を振り返ると、

  • 一時の緊張で急減
  • しかし改善局面で急回復

というパターンも繰り返されてきました。

とくに中国人観光客は

  • 価格と便数が戻れば動きやすい
  • 日本への旅行嗜好そのものは根強い

ため、外交の空気が変われば復元力も高い市場です。


5. 京都にとっての現実的な意味

今回の中国人観光客の減少傾向は、京都にとって二つの意味を持ちます。

5-1. 経済面では痛手になり得る

中国人観光客は

  • 1人あたり消費額が大きい
  • 宿泊・買い物・体験に厚みがある

市場です。

そのため、比率が下がれば

  • 高級ホテル
  • 百貨店
  • 免税店
  • 観光バス・団体系の事業者

から影響が先に出やすいと考えられます。

5-2. オーバーツーリズムの“圧力緩和”という側面もある

一方で、京都は近年

  • 観光客の集中
  • マナー問題
  • 市民生活への負荷

など、オーバーツーリズムが大きな課題でした。

中国人客の急減が一時的にでも起きれば、

  • 混雑圧の緩和
  • 観光地の回遊分散

につながる可能性もあります。

ただし、これは「歓迎すべき減少」という単純な話ではなく、

“観光の質とバランスをどう取るか”

という京都の長期課題に直結するテーマです。


6. まとめ:京都の中国人は“減り始めた”が、影響はこれからが本番

  • 中国政府の対日渡航自粛(注意喚起)後、京都では中国人観光客が減り始めたと見られる現場のサインが出ている。
  • ただし、FIT中心の構造や季節要因、他国市場の強さから、減り方は一律ではなく“まだら模様”。
  • 短期的には冬〜春節にかけて減少が続く可能性が高いが、外交の空気が変われば戻るスピードも早い市場。
  • 京都にとっては、経済面の痛手と、混雑圧緩和という両面を持つ。

今回の出来事は、京都の観光が

「特定市場への依存と、政治リスクの直撃」

という現実を改めて可視化しました。

京都が今後、

  • 多国籍化・分散化を進めるのか
  • 中国市場との付き合い方をどう設計するのか

その答えが問われる局面に入っていると言えるでしょう。

 

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