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坂口志文・経歴

坂口志文・経歴

【速報】ノーベル生理学・医学賞受賞者 坂口志文氏の壮大な軌跡

免疫の「ブレーキ」制御性T細胞の発見

2025年、日本の科学界に再び朗報が届きました。ノーベル生理学・医学賞は、大阪大学・特任教授の**坂口志文(さかぐち しもん)さんに授与されることが決定しました。坂口氏の業績は、長年にわたり免疫学の「常識」を覆す挑戦を続け、「制御性T細胞(Treg)」**という免疫応答のブレーキ役の細胞を発見・解明したことです。この発見は、自己免疫疾患やアレルギー、がん治療といった広範な医療分野に革命をもたらすもので、まさに教科書を書き換える偉業と言えます。

坂口志文氏の経歴はどのようなものなのでしょうか?

坂口氏の研究者としての道のりは、京都大学での医学教育から始まり、米国での粘り強い研究活動を経て、日本に戻って再び最高峰の研究機関で結実するという、波乱に富んだものです。以下に、坂口志文氏の栄光の軌跡を、学歴・職歴の時系列で詳しく解説します。

坂口志文氏・プロフィール

  • 氏名:坂口 志文(Shimon Sakaguchi)
  • 生年:1951年1月19日(滋賀県長浜市 出身)
  • 専門:免疫学・病理学(制御性T細胞、免疫寛容)
  • 所属(受賞時):大阪大学 免疫学フロンティア研究センター(IFReC)

坂口志文氏の経歴・学歴詳細(時系列)

年月 事項 概要と重要性
1951年 滋賀県長浜市に生まれる
1976年3月 京都大学 医学部 医学科 卒業 医師免許を取得し、医学研究の道へ進むための基礎を築く。
1976年4月 京都大学 大学院 医学研究科 入学 基礎医学研究者としてのキャリアをスタート。
1977年10月 愛知県癌センター研究所 実験病理部門 研究生 癌研究の初期に携わり、免疫学への関心を深めていく。
1980年4月 京都大学 医学部 免疫研究施設 医員 免疫学の専門的な研究を京都大学で本格的に開始。
1983年9月 京都大学 博士(医学)学位 取得
1983年9月 Johns Hopkins大学 客員研究員(米国) 渡米し、海外の最先端の研究環境でキャリアを積む。後の大発見に向けた準備期間となる。
1987年7月 Stanford大学 客員研究員(米国)
1989年7月 Scripps研究所 免疫学部 助教授(米国) 米国の独立した研究者としての地位を確立。この時期に制御性T細胞の存在を強く示唆する実験結果を発表し始める。
1992年10月 新技術事業団「さきがけ21研究」 研究員 帰国後、日本の独立した研究プログラムで制御性T細胞のマーカー特定に注力。
1995年4月 東京都老人総合研究所 免疫病理部門 部門長 研究をさらに発展させ、制御性T細胞の特異的なマーカー分子であるCD25を特定し、その機能の確立に成功する。
1999年2月 京都大学 再生医科学研究所 教授 国内トップクラスの研究機関で、制御性T細胞研究を本格的に展開。所長も歴任し、研究体制の構築に貢献。
2007年10月 京都大学 再生医科学研究所 所長
2011年4月 大阪大学 免疫学フロンティア研究センター 教授 世界トップレベルの研究拠点であるIFReCに移籍。制御性T細胞研究の応用展開を推進。
2013年7月 大阪大学 特別教授 大阪大学における最高の栄誉ある職位の一つ。
2016年4月 大阪大学 名誉教授、京都大学 名誉教授
2017年4月 大阪大学 栄誉教授
2025年10月 ノーベル生理学・医学賞 受賞 制御性T細胞の発見とその機能解明という、免疫学におけるパラダイムシフトをもたらした業績が世界的に認められる。

研究の核心:免疫学の「番人」の発見

坂口氏の最大の功績は、自己と非自己を区別して異物を攻撃する**「免疫」の働きに「ブレーキ」をかける細胞**、すなわち制御性T細胞があることを証明した点にあります。

それまでの免疫学は、免疫細胞は異物(非自己)だけを攻撃すると考えられていました。しかし、坂口氏は、自己の細胞を攻撃してしまう自己免疫疾患の原因を追求する過程で、免疫の暴走を防ぐ特定のT細胞が存在するのではないかという大胆な仮説を立てました。

マウスを用いた緻密な実験の結果、リンパ球の一種であるCD4陽性T細胞の中に、自己攻撃的な免疫反応を積極的に抑制する細胞集団が存在することを突き止め、これを「制御性T細胞」と名付けました。この発見は、当初、一部の免疫学者から「胡散臭い」と懐疑的な目で見られましたが、坂口氏は粘り強く研究を続け、特異的なマーカー分子(CD25、後にFOXP3)を同定することで、その存在を揺るぎないものにしました。

医療への多大な影響と未来

制御性T細胞の発見は、単なる基礎研究の成果に留まりません。

  1. 自己免疫疾患の治療: 制御性T細胞の機能が低下すると自己免疫疾患が起こることが明らかになり、この細胞を体外で増やして患者に戻す「制御性T細胞療法」の開発が進んでいます。
  2. アレルギー・臓器移植: 制御性T細胞の働きを強化することで、アレルギー反応の抑制や、移植後の拒絶反応の軽減につながることが期待されています。
  3. がん免疫療法: がん細胞は、制御性T細胞を利用して免疫の攻撃を逃れることが分かっています。この細胞の働きを抑えることで、免疫細胞にがんを攻撃させる新しい治療法(チェックポイント阻害剤の応用など)の開発にも大きな影響を与えています。

坂口氏の発見は、免疫システムの理解を根本から変え、未来の医療の可能性を大きく広げました。今回のノーベル賞受賞は、その長年にわたる貢献に対する当然の評価と言えるでしょう。


研究のハイライト(なぜ画期的だったのか)

1) 制御性T細胞(Treg)の同定

1990年代半ば、自己反応性の暴走を生体内で抑えるT細胞集団としてCD25陽性CD4 T細胞の重要性を実証し、**制御性T細胞(Treg)**の概念を確立。これにより、従来「胸腺での除去(中枢性寛容)」が中心とされた自己寛容の理解に、末梢での能動的抑制機構という新しい軸が加わりました。

2) FOXP3とTregの機能基盤

その後、Tregの分化・機能を司る転写因子FOXP3との連関が確立。Treg=免疫のブレーキという枠組みが分子レベルで裏づけられ、自己免疫疾患・移植・がん免疫治療など臨床応用の扉が開かれました。

3) 疾病モデルと治療開発

坂口さんのグループが樹立したSKGマウス(自己免疫性関節炎モデル)をはじめ、免疫寛容破綻の機序を可視化するモデル研究を推進。現在は、Tregを賦活・補充する治療や、逆にがん免疫ではTregを制御して抗腫瘍免疫を高めるアプローチが世界的に展開されています。


主な受賞・顕彰(抜粋・時系列)

  • 2004年:William B. Coley Award(Cancer Research Institute)
  • 2008年:慶應医学賞
  • 2009年:紫綬褒章
  • 2011年:朝日賞
  • 2012年:米国科学アカデミー(NAS)外国人会員
  • 2015年カナダ・ガードナー国際賞
  • 2017年クラフォード賞、文化功労者
  • 2019年文化勲章
  • 2020年ロベルト・コッホ賞、ポール・エールリヒ&ルートヴィヒ・ダルムシュタット賞
  • 2025年ノーベル生理学・医学賞(Brunkow、Ramsdell両氏と共同受賞)

研究意義のまとめ(一般向け)

  • 何を示した? 免疫は「攻める」だけではなく、**自分を傷つけないためのブレーキ機構(Treg)**を生まれつき備えることを、実験的に明確化しました。
  • なぜ重要? 自己免疫疾患・アレルギー・移植拒絶・がん免疫など、相反する医療課題に対し、Tregを増やす/抑えるという双方向の治療戦略が可能になりました。
  • これから:再生医療・個別化医療と融合し、疾患ごとにTreg機能を最適化する精密免疫治療がさらに進むと期待されます。

 

 

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