「サナエノミクス」とは？

高市早苗新総裁が目指す「強く、成長する国」の経済政策🚀

自民党の新総裁に選出された高市早苗氏が、その経済政策の柱として掲げるのが「サナエノミクス」です。サナエノミクスとは、第2次安倍政権下の「アベノミクス」の基本路線を継承しつつ、現在の日本が直面する課題に対応するために発展させた政策体系です。

高市新総裁は、「美しく、強く、成長する国へ。」をスローガンに、日本経済の再生と国民生活の安定を目指しています。ここでは、サナエノミクスとは何なのか。　サナエノミクスの具体的な内容や政策姿勢について、詳しく見ていきましょう。

1. サナエノミクスの基本骨格：アベノミクスの継承と発展

サナエノミクスは、基本的に「ニュー・アベノミクス」とも称されるように、アベノミクスの3本の矢の枠組みを踏襲しています。ただし、3本目の矢には、高市氏ならではの重点が置かれています。

特に重要なのが、財政・金融両面での**緩和的な政策姿勢（ハト派的スタンス）と、従来のプライマリー・バランス（PB）黒字化目標に囚われない「責任ある積極財政」**の考え方です。高市氏は、PBが赤字でも名目金利を上回る名目成長率を達成できれば財政は改善するとの認識を示しています。

2. 政策の重点：物価高対策と「高圧経済政策」

高市新総裁は、就任会見などで喫緊の課題として「物価高対策」を最優先事項に挙げました。現在の日本経済が直面しているのは、賃金上昇を伴わないコストプッシュ型のインフレ（原材料費高騰などによる物価上昇）です。

2-1. 喫緊の物価高対策

• 生活支援・賃上げ: 低所得世帯や子育て世代への現金給付や減税などの支援策を推進。
• 診療報酬・介護報酬の早期引き上げ: 病院や介護の現場で働く人々の賃上げにつながるよう、補正予算での早期引き上げを表明。
• エネルギー価格への対応: ガソリンや軽油の暫定税率廃止（トリガー条項凍結解除）や、適用までの補助金活用など、エネルギー価格高騰への対策に力を注ぐ考えを示しています。
• 自治体への交付金拡充: 地方自治体が独自の対策に使える交付金の拡充を掲げています。

2-2. 「高圧経済政策」によるデマンドプル型インフレの実現

高市氏が目指すのは、賃金上昇が主導し、需要が増えることによってモノの値段が緩やかに上がる「デマンドプル型」のインフレです。この状況になるまで、財政・金融政策を通じて需要超過の状態を維持する「高圧経済政策」を志向しています。

具体的には、

• 金融政策: 日本銀行とは密に連携し、物価安定目標2%を達成するまで金融緩和を継続。利上げについては慎重な姿勢を示し、政府が責任を持つことで日銀を一定程度牽制する考えを持っています。
• 財政政策: 必要な施策であれば赤字国債も厭わない姿勢で「責任ある積極財政」を遂行。特に、後述の「危機管理投資・成長投資」に重点を置いた補正予算の編成を目指します。

3. サナエノミクスの独自色：「危機管理投資・成長投資」

アベノミクスの「民間活力を引き出す成長戦略」に代えて掲げられたのが、「大胆な危機管理投資・成長投資」です。これは、単なる経済成長だけでなく、日本列島が抱える構造的なリスクを最小化し、国民の安全と安心を確保することに重点を置いています。

3-1. 危機管理投資

• 国土強靭化・防災対策: 災害に強い国づくりを目指し、国土強靭化や防災対策に集中的に投資。
• エネルギー安全保障: 自立的にエネルギー供給ができるよう、再生可能エネルギーや原子力など、エネルギー安全保障の確立に向けた投資。
• 食料安全保障: 食料自給率の向上と安定供給を確立するための農業・食品産業への投資。

3-2. 成長投資

• 科学技術・人材投資: 新しい技術開発やイノベーションを促進し、未来の成長の基盤となる科学技術や人への投資。
• セキュリティ・クリアランス制度: 経済安全保障の観点から、日本の技術・経済分野の情報保全を強化する「セキュリティ・クリアランス制度」の推進（これは高市氏の悲願の一つで、既に実現しています）。

これらの投資は、国が「呼び水的な投資」を行うことで、民間需要を喚起し、最終的に税率を上げなくても税収が増える経済成長の形を目指すものです。

4. その他の注目政策

サナエノミクスでは、上記以外にも、国民生活や経済に直結する重要な政策が掲げられています。

• 給付付き税額控除の創設: 賃上げの数値目標は民間企業が決めることとして距離を置く一方、給付付き税額控除を創設することで、現役世代の所得向上と負担軽減を図ります。
• 金融所得税制の見直し: 金融所得税制については、逆進性が大きいとして増税する考えを示しています。
• 政治改革: 昨年の衆院選などの大敗を踏まえ、「裏金」問題などに起因する国民の信頼回復のため、政治改革の断行を最優先課題の一つに位置づけています。

5. まとめ

高市新総裁の「サナエノミクス」は、アベノミクスの「積極的な財政・金融政策」というDNAを受け継ぎながら、現在の物価高と地政学的リスクという二つの大きな課題に対応するため、「危機管理投資・成長投資」という独自の色を強く打ち出した経済政策です。

「責任ある積極財政」のもと、日本経済をデフレ脱却させ、賃金上昇を伴う持続的な成長軌道に乗せるための高圧的な経済運営が、これからどのように展開されるのか、市場や国民の注目が集まっています。