近年、家族や友人同士で位置情報を共有できるアプリ「Life360」が日本でも注目を集めています。特に、子どもの安全確認や高齢者の見守りに便利だと評価される一方で、プライバシーの問題や人間関係への影響など、利用には注意が必要な側面も存在します。本記事では、Life360の危険性とメリットを、国内外の具体事例も交えて詳しく解説します。
Life360はアメリカ発のファミリー向け位置情報共有アプリで、ユーザーは「サークル」と呼ばれるグループを作成し、その中で位置情報を共有します。TileというBluetoothトラッカーを買収し、統合サービスを展開するなど進化を続けています。
リアルタイムで正確な位置情報が共有されるため、生活行動が可視化されすぎる懸念があります。特に若者にとっては「監視されている」という心理的負担になりかねません。
海外では、Life360がユーザーの位置情報を匿名化したうえでデータブローカーに提供していたと報じられています。匿名化とはいえ、データが再識別されるリスクも指摘されています。
傘下のTileタグに暗号化の欠如があり、ストーキングに悪用される懸念が指摘されました。さらに、GPS誤差や通信環境の影響で位置情報が不正確になるケースもあります。
親子間や恋人同士で「過度な監視」となり、不信感やストレスの原因になることがあります。米国では「fambushing」と呼ばれる、子どもが逆に親を監視する現象も報じられました。
セキュリティの脆弱性や情報流出が発生した場合、名前・住所・行動履歴といったセンシティブ情報が悪用される可能性があります。
子どもの帰宅や高齢者の外出状況を把握でき、安心感を得られます。
事故発生時に即座に通知が送られることで、迅速な対応が可能です。
家族が安全運転をしているかを確認でき、交通事故のリスク軽減につながります。
アプリ内チャットにより、余計な連絡や確認が減り、ストレスを軽減します。
過去の移動を振り返ることで、生活習慣の見直しにも活用できます。
Life360は、安全確保や安心感を与えるメリットがある一方で、プライバシー侵害や人間関係への悪影響といった危険性を抱えています。国内外の事例が示すように、「便利さ」と「監視」の境界線は非常に曖昧です。利用にあたっては、家族間での合意形成やルールづくりが不可欠であり、過信せず補助的なツールとして使うことが望ましいでしょう。