大学生活を送るうえで、耳にしたくない言葉のひとつが「除籍」です。
「除籍」とは大学においてどういう意味なのでしょうか?
最近では、SNSやニュースでも取り上げられる機会が増えていますが、具体的にどのような大学において除籍がどんな意味を持ち、どんな状況で適用されるのかを正確に理解している人は少ないかもしれません。今回は、大学における「除籍」について、さらに詳しく、具体例や注意点を交えながら解説します。
大学における「除籍」とは、大学に在籍する資格を完全に失い、学生としての身分が抹消されることを指します。除籍となると、学生証が無効になるのはもちろん、授業や試験を受けることも、図書館や学内施設を利用することもできなくなります。
「退学」は学生本人の意思で行う手続きですが、「除籍」は大学側の判断によって強制的に行われる場合が多い点が大きな違いです。大学は規則や学則を遵守するため、一定の基準に達しない場合や重大な規律違反があった場合に除籍という最終手段を取ります。
では、どのような理由で除籍となるのでしょうか。以下の6つが代表的です。今回はそれぞれの項目について、背景事情や実例、対策をさらに詳しく記載します。
大学に通うには学費や施設利用料など、様々な費用がかかります。所定の期日までに学費を納めなければ、まず督促状が届きます。それでも納入が確認できない場合、最終的には除籍処分となることがあります。近年は経済的な事情で支払いが困難になる学生も増えていますが、多くの大学では分納制度や奨学金、緊急支援制度が整備されつつあります。支払いが難しいと感じた時点で、早めに相談することが重要です。
授業への出席は単位取得の大前提です。出席が著しく少ない場合や、試験を繰り返し欠席する場合、単位不足や進級不可となり、最終的に除籍となるケースがあります。例えば、大学によっては「1年ごとに最低24単位修得」など具体的な基準を設けています。もし学業面でつまずきそうなときは、教授や学生相談室に早めに相談することが望ましいです。
大学には「在学できる最長年数」があり、それを超えると除籍対象となります。4年制大学なら最長8年というケースが多いです。単位を取りきれないままズルズル在学を続けると、最終的に除籍となってしまいます。ただし、病気や家庭の事情で延長が必要な場合は、申請により救済措置が認められることもあります。
無断欠席が長期化し、大学側と連絡が取れない状態が続くと除籍の可能性が高まります。例えば、留学や就職活動を理由に授業を休む場合でも、正式な手続きをしないままだと除籍に繋がることがあります。大学は学生の安否確認や学籍管理の責任を負っており、音信不通は深刻な問題と見なされます。
試験中のカンニング、大規模なレポート盗用、暴力事件などの重大な規律違反は、即除籍につながることがあります。最近では、SNSへの不適切な投稿が原因で懲戒処分を受ける例も増えています。除籍になると、その情報が学内で共有され、他大学への編入にも影響する恐れがあります。大学の名誉を守るため、大学側はこうした問題に厳しく対応しています。
入試時に提出した書類に虚偽があった場合も除籍対象です。例えば、高校の卒業証書を偽造する、合格実績を水増しするなどの不正が後から発覚した場合、たとえ在学中であっても入学そのものが無効とされ、除籍処分となります。こうしたケースはニュースになることもあり、本人の将来に大きな影響を与えます。
除籍になると、大学に在籍していた記録は抹消されます。ただし、多くの大学では「除籍証明書」という書類が発行されます。これは在籍していた事実は証明できるものの、卒業や学位の取得を証明するものではありません。
除籍の理由によっては、再入学や他大学への編入にも影響が出ることがあります。特に不正行為による除籍は深刻で、進学や就職活動で不利になることも少なくありません。一方、経済的事情や修業年限超過など、やむを得ない理由による除籍であれば、再び大学に挑戦することは可能です。困ったときは学生課や奨学金の相談窓口に積極的に相談するのが大切です。
大学における除籍は、学生生活の中でも最も重い処分です。しかし、ほとんどの大学では通知や警告を複数回行い、学生に猶予を与えています。除籍を防ぐためには、大学からの連絡を無視せず、問題が起きたときには早めに相談することが重要です。ルールを理解し、計画的に単位を取得することで、安心して大学生活を送ることができるでしょう。
今回話題となっている田久保眞紀市長の除籍問題は、「入学資格の虚偽申告」や「在学実態の欠如」に関連している可能性があります。報道によれば、田久保市長は東洋大学法学部を卒業と公表していましたが、大学側が確認したところ卒業ではなく除籍であったと判明しました。除籍の理由は明らかになっていませんが、可能性としては学費未納、長期無断欠席、または成績不良などが考えられます。公職選挙法上は学歴詐称にあたらないとされていますが、経歴の正確さが問われる公職者として大きな問題となっています。田久保市長がどのような理由で除籍になったかは大学の個人情報保護のため公表されていないため、現時点では不明です。