ここ数年、ニュースでますます耳にするようになった「デジタル税」。アマゾン、メタ(旧フェイスブック)、グーグルなどの巨大IT企業とともに語られることが多いこの税金ですが、2025年6月、米国とカナダの対立 によって再び世界的に注目を集めています。【デジタル税】とは何か?今回はデジタル税の仕組みや背景、そして最新の米加対立のニュースを詳しく解説します!
デジタル税(Digital Services Tax、DST)は、インターネットを通じてサービスを提供し、グローバルに売上を上げる 巨大テック企業 に課される新しい税金です。課税対象になる主なサービスは以下のようなものです:
従来の法人税は、本社がある国で課税するのが基本でした。しかし、IT企業は物理的な店舗を持たず、インターネットを通じて世界中のユーザーから売上を得られるため、本社以外の国では課税が難しい という問題がありました。
例えば、アメリカ企業が日本で多額の広告収入を上げていても、日本で得られる税収はわずか。こうした 「デジタル経済の課税空白」 を埋めるのがデジタル税の狙いです。
2025年6月、カナダの政府は 6月30日からデジタルサービス税を導入する と発表しました。課税対象は主に売上の大きい米国企業で、カナダは
「カナダ国内で稼いだ利益に対し、正当な税金を支払ってもらうため」
と説明しています。
しかしこれに対して、トランプ米大統領が強く反発しました。米メディア The Wall Street Journal(2025年6月27日付)は、トランプ氏のSNS投稿を次のように伝えています:
「カナダとのすべての通商交渉を即時に終わりにする。この法外なデジタル税は米国への攻撃だ。7日以内にカナダが支払うことになる新たな関税を発表する。」
(Wall Street Journal, June 27, 2025)
Bloomberg(2025年6月27日)は今回の動きについて、
「米国と2番目の貿易相手国であるカナダとの対立が激化すれば、関税政策全体の不透明感が増す」
と報じています。
カナダはアメリカにとってエネルギー資源や自動車部品、木材などの重要な輸入先です。特に、自動車産業は両国のサプライチェーンが深く結びついており、関税が発動されれば 北米経済全体に影響 が出かねないと、経済界でも懸念の声が高まっています。
さらに米メディア Politico(2025年6月28日付)は、匿名の米政府関係者の話として、
「関税対象は木材、アルミニウム、自動車部品が候補に挙がっている」
と報じており、今後の米国の対応に注目が集まっています。
カナダ以外でもデジタル税を導入・検討している国は多く存在します。例えば:
しかし、こうした単独課税は アメリカなど課税対象国の強い反発 を招きやすく、今回の米加対立のように 貿易摩擦の火種 になることが多いのが現状です。
OECD(経済協力開発機構)は、各国がバラバラにデジタル税を導入すると貿易摩擦が深刻化すると懸念し、国際的な課税ルールの統一を進めています。
2021年には、約140カ国が以下の方針で合意しました:
しかし、実際の導入には調整が必要で、各国の法改正や実施時期にばらつきがあり、今回のように単独で動く国も後を絶ちません。
デジタル税は、 「デジタル時代にふさわしい課税のあり方」 を模索するために生まれた新たな税制です。各国の税収確保という正当な理由がある一方で、アメリカの巨大IT企業を狙い撃ちする色合いが強く、今回のように 米国との貿易摩擦の火種 になることも避けられません。
特にカナダと米国は地理的にも経済的にも結びつきが強いため、今回の対立は北米経済全体に大きな影響を及ぼす可能性があります。今後もデジタル税をめぐる各国の動きから目が離せません!