毎日、私たちはたくさんのものを使って生活しています。例えば、ドアを開けたり、電気のスイッチを押したり、鉛筆で字を書いたり。これらの何気ない行動の中で使われているものには、実はたくさんの「工夫」が隠されていることを知っていますか?それらの工夫は、どんな人にとっても使いやすいように考えられて作られています。
ユニバーサルデザイン(Universal Design、略してUD)とは、「すべての人にとって使いやすいデザイン」という意味を持つ言葉です。年齢が小さい子どもも、お年寄りも、体が不自由な人も、外国から来た人も、性別や文化の違いに関わらず、みんなが快適に使えるように、最初から工夫して作られている設計のことを指します。この考え方は、アメリカで建築などを研究していたロナルド・メイス教授によって1980年代に広められました。
「バリアフリー」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。これは、例えば車いすを利用している人が階段を上り下りしやすいようにスロープを後からつけたり、段差をなくしたりと、特定の人のための「障害を取り除く」工夫を意味します。これに対し、ユニバーサルデザインは、最初から「みんなが使いやすいように」と考えるアプローチです。例えば、階段を作る際に、最初からスロープも一緒に設置するようなイメージです。このアプローチは、問題が発生してから解決するのではなく、問題が起こる前に多様な人々のニーズを予測し、設計に組み込むという考え方に基づいています。このように、最初から全ての人々が利用しやすいように設計することで、後から修正するよりも、より効率的で包括的な解決策が提供され、結果として多くの人々に利益をもたらす可能性が高まります。
ユニバーサルデザインがなぜ大切なのでしょうか。それは、UDが体が不自由な人や高齢者だけのためではないからです。例えば、両手にたくさんの荷物を持っている人、ベビーカーを押しているお父さんやお母さん、ちょっと疲れている人など、誰もが「ちょっと助かる」と感じるような利便性を提供します。このように、UDは特定の誰かにとっての特別な配慮ではなく、社会全体で暮らすすべての人々の生活の質を向上させるための、当たり前の工夫として広がっています。
では早速ユニバーサルデザインの一覧を見ていきましょう。
私たちの家の中を見渡してみると、普段当たり前のように使っているものの中にも、実はたくさんのユニバーサルデザインが見つかります。これらのデザインは、意識しないほど自然に私たちの生活に溶け込んでいますが、その一つ一つに「みんなにやさしい」工夫が詰まっています。
お風呂でシャンプーとリンスを間違えてしまった経験はありませんか?実は、シャンプーのボトルには、側面や上部にギザギザとした突起がついていて、リンスのボトルにはついていないことがほとんどです。この工夫は、視覚に障害がある人が触るだけでシャンプーとリンスを区別できるように考えられたものです。しかし、それだけでなく、シャンプー中に目をつぶっている私たちにとっても非常に便利です。現在では、多くのメーカーがこの突起の位置や形状を統一しており、どの製品を使っても迷うことなく区別できるようになっています 。このように、特定のニーズに応えるために生まれたデザインが、結果としてすべての人にとっての利便性を高め、生活の質を向上させている例は数多く存在します。
電気のスイッチは、どのような形をしていますか?最近の家庭では、シーソーのようにどちら側を押してもオン・オフが切り替わる大きなスイッチや、手のひらで押せるほど大きいサイズのスイッチが主流になっています 5。中には、人が近づくと自動で電気がつくセンサー式のものもあります。これらのスイッチは、指の力が弱いお年寄りや小さな子どもでも簡単に操作できるだけでなく、荷物で両手がふさがっている時でも、肘などで押すことができるため、非常に便利です。
家のトイレにも、ユニバーサルデザインの工夫がたくさん隠されています。例えば、人が近づくと自動でフタが開閉したり、座ったまま手元で操作できるボタンが集中して配置されていたりします。シャワートイレも、もともとは病院で手術後のケアとして活用されていた機能が、一般家庭に広く普及したものです。これらの機能は、かがんだり体をひねったりする動作を減らすことで、足腰への負担を軽減し、誰もが快適に利用できるように考えられています。
階段の手すりにも、ユニバーサルデザインの工夫がいっぱいです。手すりが階段のコーナー部分にも途切れることなく設置されていたり、滑りにくい踏み板や足元を照らす照明が備え付けられていたりします。これにより、手を離すことなく階段を安全に上り下りできるため、転倒のリスクが減少します。万が一転んでしまっても、角が丸い素材が使われていれば、ケガの被害を軽減する工夫も施されています。
手をかざすだけで水が出る蛇口は、キッチンや洗面所、公共のトイレなどでよく見かけるようになりました。このタイプの蛇口は、栓をひねるのが難しい人や、手が汚れている時でも簡単に水が出せるため、非常に便利です。また、公共の場所では、蛇口に直接触れる必要がないため衛生的であり、感染症対策としても効果を発揮します。このように、ユニバーサルデザインは、特定の利用者の利便性を高めるだけでなく、衛生環境の向上やエネルギー効率の改善(自動ドアの例など)といった、当初の目的を超えた多角的な価値を生み出すことがあります。これは、デザインが社会全体の課題解決に貢献する可能性を示しています。
トランプで遊ぶとき、カードの左上と右下に数字とマークが描かれているのが一般的です。しかし、これだけだと左利きの人には数字やマークが見えにくくなることがあります。そのため、最近のトランプは、4つの角すべてに数字とマークが描かれているものが増えています。この工夫により、どちらの手で持っても数字とマークがすぐに見えるため、右利きでも左利きでも、誰もが快適にゲームを楽しむことができます。
長時間字を書いていると、手が疲れて肩が凝ってしまうことがあります。ユニバーサルデザインのペンは、握りやすい形に設計されており、手の力が弱い人でも疲れずに字を書けるように工夫されています。このようなペンは、長時間の学習や作業においても手の負担を軽減し、誰もが集中して取り組めるようにサポートします。
一歩外に出ると、駅やお店、公園など、街のあちこちでユニバーサルデザインが活躍していることに気づきます。これらの公共の場所は、多様な人々が利用するため、ユニバーサルデザインの工夫が特に重要とされています。個々のUD要素は、単独で機能するだけでなく、互いに連携し、利用者の移動や活動をよりスムーズにサポートするよう設計されています。
お店や建物の入り口で、人が近づくと自動で開くドアは、ユニバーサルデザインの代表的な例の一つです。車いすを利用している人や、ベビーカーを押している人、両手にたくさんの荷物を持っている人など、どんな人でもドアを開けるために力をかけることなく、スムーズに建物に入ることができます。さらに、自動ドアは冷暖房の効率を向上させ、エネルギーコストの削減にも貢献するというデータもあります。
駅のホームや横断歩道の手前などで、黄色くデコボコしたタイルが敷かれているのを見たことがあるでしょうか?これは「点字ブロック」と呼ばれ、視覚に障害のある人が足の裏や白杖でその存在を感じ取り、進むべき方向や注意が必要な場所を知るためのサインです。点の並び方には「進行方向を示す誘導ブロック」と「危険を知らせる警告ブロック」の2種類があり、目的地まで安全に移動できるよう工夫されています。健常者にとっても、足元にあることで注意喚起になるなど、安全を支える大切な存在です。
歩道と車道の境目や、公園の出入り口などで、段差がなく、なだらかになっている場所を見たことがあるでしょう。この段差解消の工夫により、車いすの人やベビーカー、自転車に乗っている人も、つまずいたり引っかかったりすることなく、安全に通行できます。歩行者にとっても、足元を気にせず歩けるため、安心して移動できる環境が整備されています。
駅や商業施設で、通常のトイレとは別に、広々とした空間にさまざまな設備が整えられたトイレを見かけることがあります。これらは「多機能トイレ」や「みんなのトイレ」と呼ばれ、ベビーシートや手すり、オストメイト(人工肛門・膀胱)対応の設備などが備わっていることが多いです。赤ちゃん連れのお父さんやお母さん、車いすの人、体が不自由な人など、多様な人々が安心して快適に利用できるスペースとして設計されています。
信号機には、青信号になったことを鳥の鳴き声やメロディで知らせてくれる「音響式信号機」があります。場所によっては、「カッコー」と「ぴよぴよ」の鳴き声で通りの方向がわかるように工夫されているものもあります 5。また、青信号の時間を長くできる歩行者用ボタンや、色覚異常の人でも見分けやすい高輝度LEDが使われている信号も開発されています。これらの工夫は、目の不自由な人が安全に横断歩道を渡れるように助け、お年寄りなどゆっくり移動したい人が安心して渡れるように配慮されています。
バスの乗り降り口に段差がほとんどないバスを見たことがあるでしょうか。これが「ノンステップバス」です。 車いすの人が乗り降りするためのスロープが備え付けられているものもあります。ノンステップバスは、お年寄りや小さな子ども、大きな荷物を持っている人、車いすの人など、誰でも簡単に乗り降りできるため、公共交通機関の利用がより便利になります。
駅の改札には、他の改札よりも幅が広い場所が設けられています 7。この広い改札は、車いすの人やベビーカー、松葉杖を使っている人だけでなく、旅行で大きな荷物を持っている人など、様々な状況の人々がゆったりとスムーズに通れるように作られています。自動ドアが「珍しさを感じないくらい見慣れたもの」となっているように、ノンステップバスの普及や2020年東京オリンピック・パラリンピックを契機としたUD推進は、ユニバーサルデザインが社会に深く浸透し、もはや特別なものではなく「標準」になりつつあることを示しています。これは、社会が多様な人々を受け入れ、包摂的な環境を構築しようとする意識が高まっている証拠であり、社会の成熟度を反映していると言えるでしょう。
私たちの身の回りにある、普段手にする文房具や、目にするマーク、さらにはお札にもユニバーサルデザインの工夫が凝らされています。情報が「みんなにわかりやすく」伝わることも、ユニバーサルデザインの大切な要素です。
自動販売機には、飲み物を選ぶボタンが低い位置にもあったり、お金を入れるところが大きく設計されていたりするのを見たことがあるでしょう。また、商品を取り出す口も、かがまずに楽な姿勢で取れる高さになっているものもあります。これらの工夫は、車いすの人や小さな子ども、背が低い人でも、簡単に商品を選んで購入できるように考えられています。
缶ビールなどのアルコール飲料の缶の上部には、「ビールです」という表記と点字の突起がついているのを知っていますか?この工夫は、目の不自由な人が触るだけで、それがアルコール飲料だとわかるように施されています。また、子どもが誤ってジュースと間違えて飲んでしまわないように区別できる、大切な目印にもなっています。このようなデザインは、単なる利便性を超え、視覚に障害がある人が自身で情報を識別し、安全な選択を行うことを可能にし、他者の助けを借りずに日常生活を送る上での自立を支援し、個人の尊厳を確保する役割も果たしています。
駅や公共の場所で、トイレや非常口、エレベーターなどのシンプルな絵文字を見たことがあるでしょう。これらを「ピクトグラム」と呼びます。ピクトグラムは、文字を読まなくても、絵だけで一目で何を表しているか理解できるようにデザインされています。外国から来た人や、小さな子ども、細かい文字が見えにくいお年寄りなど、文字が分からない人にも情報が伝わるように考えられています。
ハサミやカッターには、右利きでも左利きでも使えるように左右対称のデザインのものがあります。また、針を使わないホッチキスや、握りやすい形の鉛筆、子どもの安全に配慮した先の丸いハサミなどもユニバーサルデザインの例です。これらの文房具は、利き手や手の力の強さに関わらず、誰もが安全に、そして楽に使えるように工夫されています。
私たちが日々使うお札にも、ユニバーサルデザインが取り入れられています。お札の端には、触るとわかる識別マークがついています。この工夫により、目の不自由な人が、触っただけでお札の種類(千円札、五千円札、一万円札など)を区別できるようになっています。これもまた、自立を支援し、尊厳を確保するデザインの例と言えるでしょう。
ペットボトルには、くびれがあったり、表面にデコボコがついていたりするのを見たことがあるでしょう。また、最近はラベルが簡単にはがせたり、つぶしやすくなったりしているものも多く見られます。これらの工夫は、力の弱い人や手の小さい人でも持ちやすく、開けやすいように設計されています。さらに、軽量化やリサイクルしやすい構造は、運搬や廃棄の負担を減らし、環境にもやさしいデザインにつながっています。
おもちゃの中には、「盲導犬マーク」や「うさぎマーク」がついているものがあります。これは、目の不自由な子や耳の不自由な子も楽しめるように工夫されたおもちゃであることを示しています。例えば、リカちゃん人形の小物には、触って位置がわかるように凸凹がついていて、手で触ってもずれないで遊べるようになっているそうです。このように、障害の有無に関わらず、すべての子どもたちが一緒に、そしてそれぞれの方法で楽しく遊べるように考えられています。シャンプーボトルの突起がメーカーを超えて統一されているように 、共遊玩具に認証マークが推奨されていることは 、個々の企業努力だけでなく、業界全体での標準化や協調がユニバーサルデザインの普及と効果を大きく高めることを示しています。これにより、消費者はどの製品を選んでも一貫したアクセシビリティを期待できるようになり、ユニバーサルデザインの恩恵がより広範囲に及ぶことになります。
時間を知るための時計にも、ユニバーサルデザインの工夫が見られます。例えば、音声で現在時刻を知らせてくれる「音声時計」は、視覚に障害のある人にとって非常に便利です。また、色の見分けが苦手な人や認知機能の低下がある人にも配慮し、針と文字盤のコントラストを強めたり、大きな数字を採用したりするなど、見やすさを追求したデザインの時計も増えています。近年では、触って時間がわかる「触読式時計」なども普及し始めており、多様な人が時間を正確に把握できるようになっています。
色の使い方にも、ユニバーサルデザインの視点が取り入れられています。例えば、色覚に障害がある人でも情報を正確に読み取れるように、赤と緑のような見分けにくい組み合わせを避けたり、色だけでなく形や文字も併用した表示を行ったりする配慮がなされています。公共の案内表示や地図、教材などでは、コントラストの強い配色やパターンの併用によって、誰にとっても読みやすいデザインが工夫されています。このような配色の工夫は、色覚に限らず、高齢者や屋外での視認性の低下といった場面でも役立つものです。
みんなが毎日過ごす学校にも、ユニバーサルデザインの考え方が取り入れられています。先生たちが、みんながもっと学びやすくなるように、教室や教材に工夫を凝らしているのです。
教室の黒板の周りがシンプルに整理されていたり、椅子の足にテニスボールなどがつけられていたりするのを見たことがあるでしょうか?黒板の周りにたくさんの掲示物があると、気が散ってしまう子どももいるため、必要なものだけをシンプルにすることで、誰もが黒板に集中しやすくなります 。また、椅子の足にテニスボールをつけると、椅子を動かすときの音が小さくなり、静かな環境で学習に集中できるようになります。これらの工夫は、特定の学習困難を持つ生徒だけでなく、クラス全体の集中力向上や学習効率化に貢献し、教育環境全体の質を高めることにつながっています。
先生が黒板に書くとき、板書の色や位置を統一したり、ノートのマス目と同じような線が入った黒板を使ったりすることがあります。また、「ここを見てね」というマークやマグネットで、今どこを見ればいいかを示してくれることもあります。これらの工夫により、どこを見ればいいか分かりやすくなるため、誰もが板書を写しやすくなったり、先生の話に集中できたりします。特に、板書が苦手な子どもも安心して学習に取り組めるようになります。
教科書の文字が小さくて読みづらいと感じる子どもや、どこを読んでいるか目で追うのが苦手な子どももいます。そのような時には、文字や図を大きくした「拡大教科書」が使われることがあります。文字が大きくなることで読みやすくなり、文章に直接書き込んだり、単語ごとに区切って色分けしたりすることで、内容がより理解しやすくなります。これは、視覚的な情報処理が苦手な子どもにとって、学習の大きな助けとなります。
ユニバーサルデザインについて、子どもたちが楽しく学べる教材も開発されています。例えば、郡山市の「思いやりのとびら」という教材は、身の回りにある不便な点や工夫されている点を探すことを通して、ユニバーサルデザインについて考えるきっかけを提供します。このような教材は、子どもたちが自らユニバーサルデザインを見つけたり、アイデアを考えたりすることで、思いやりの気持ちを育み、ユニバーサルデザインの考え方を深く理解することに役立ちます。
新しく作られる施設や改修される場所では、子どもたちも使いやすいようにユニバーサルデザインが取り入れられています。例えば、水飲み場が車いす利用者も子どもも使いやすい二段式になっていたり、トイレの便器の高さが多様な体格の人に合うように調整されたり、子ども用の低い小便器が設置されたりしています。これらの改善は、実際に施設を利用する人々、例えば子育てグループなどからの要望が、実物大の検証模型やサンプルを用いた確認を経て、具体的な設計変更につながったものです。このように、ユニバーサルデザインの開発には、デザイナーや技術者だけでなく、実際にそれを利用する多様な人々の意見や体験を積極的に取り入れる「ユーザー参加型デザイン」が非常に重要です。利用者の声が、真に効果的なデザインを生み出す原動力となるのです。
ここまで見てきたように、ユニバーサルデザインは、遠い世界の話ではなく、私たちのすぐそば、毎日使っているものや、過ごしている場所にたくさん隠れています。ユニバーサルデザインは、年齢や体の状態、文化の違いなどに関わらず、すべての人が快適に、そして安全に生活できるように、最初から考えて作られたデザインなのです。
ユニバーサルデザインの根底には、「みんなが気持ちよく使えるように」という「思いやり」の気持ちがあります。誰かが困っていることに気づいたり、「こうしたらもっと便利になるんじゃないかな?」と考えたりする心が、新しいユニバーサルデザインを生み出す力となります。ユニバーサルデザインは、一度完成したら終わりというものではなく、常に発見され、改善され続ける動的なプロセスです。「UDのタネ」という表現があるように、新しい技術や社会の変化、そして多様な人々のニーズが生まれるたびに、ユニバーサルデザインもまた形を変え、より良い解決策を追求していきます。
多くのユニバーサルデザインの例は、「誰にでも公平に使える」という原則に基づいています。また、「差別感や屈辱感をもたせないこと」という考え方や 、「思いやりの気持ちを広げる」という目標は 、ユニバーサルデザインが単なる機能的な改善を超えて、社会的な包摂と共感を促進するツールであることを示唆しています。これは、多様な人々が互いに尊重し、支え合いながら共に暮らす「共生社会」を実現するための重要な手段です。デザインの力によって、物理的な障壁だけでなく、人々の心の障壁も取り除き、誰もが自分らしく生きられる社会を築くことができるという、より大きな目標へとつながっています。
さあ、今日から、身の回りにあるものをじっくり見てみましょう。シャンプーのボトル、駅の改札、学校の掲示物など、普段何気なく使っているものに、「これは、誰にやさしいデザインなのかな?」「どんな工夫があるんだろう?」と考えてみると、新しい発見があるはずです。そして、「もし、もっとこうなったら、もっとみんなにやさしいのにな」というアイデアが浮かんだら、ぜひ考えてみてください。皆さんの気づきやアイデアが、未来のユニバーサルデザインにつながるかもしれません。
以下の表は、これまでに紹介したユニバーサルデザインの具体的な例と、その工夫、そしてそれが誰にとって役立つのかをまとめたものです。この表は、ユニバーサルデザインが私たちの日常生活のいたるところに存在し、多様な人々のニーズに応えるためにどのように設計されているかを視覚的に理解するのに役立ちます。これにより、記事で学んだ多くの具体例を簡単に振り返り、理解を深めることができます。
ユニバーサルデザインの例 | どんな工夫があるの? | 誰にやさしいの? |
シャンプー・リンスのボトル | シャンプー容器にギザギザの突起がある | 目の不自由な人、目を閉じている人、みんな |
照明のスイッチ | 大きなシーソー型、手のひらで押せるサイズ | 指の力が弱い人、お年寄り、子ども、荷物を持っている人 |
センサー式蛇口 | 手をかざすと自動で水が出る | 握力の弱い人、子ども、手が汚れている人、感染対策としてもみんな |
自動ドア | センサーで自動開閉する 5 | 車いすの人、ベビーカー利用者、荷物が多い人、子ども、お年寄り、みんな |
ノンステップバス | 乗り降り口の段差がほとんどない、スロープがある | お年寄り、子ども、車いすの人、ベビーカー利用者、荷物が多い人 |
幅の広い改札 | 通常より幅が広い | 車いすの人、ベビーカー利用者、荷物が多い人、松葉杖の人 |
音響式信号機 | 青信号を鳥の鳴き声やメロディで知らせる | 目の不自由な人、色覚異常の人、ゆっくり渡りたい人、みんな |
点字付きアルコール飲料缶 | 缶上部に点字や「ビールです」表記がある | 目の不自由な人、子ども(誤飲防止) |
ピクトグラム(絵文字) | トイレや非常口などのシンプルな絵文字 | 外国人、小さな子ども、文字が読みにくいお年寄り、みんな |
拡大教科書 | 文字や図が大きく、書き込みやすい | 視力が弱い人、文字を追うのが苦手な人、集中が苦手な人、みんな |
黒板の工夫 | マス目がある、マークで示す、シンプルに整理されている | 板書が苦手な人、集中が苦手な人、みんな |
二段式の水飲み場 | 高さと低さの異なる蛇口がある | 車いすの人、子ども、みんな |