世界でもっとも高価かつ神秘的な爆撃機──それがアメリカ空軍の**B-2 Spirit(スピリット)です。そのステルス性能、戦略的意義、そして搭載可能な兵器の中でも特に注目される「バンカーバスター」**について解説します。
項目 | 内容 |
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正式名称 | B-2 Spirit(スピリット) |
開発企業 | ノースロップ・グラマン社 |
初飛行 | 1989年 |
配備開始 | 1997年 |
最大航続距離 | 約12,000km以上(空中給油あり) |
兵器搭載量 | 最大18トン以上 |
価格 | 約22億ドル(約3,000億円) |
現役機数 | 約20機(1機は墜落) |
配備基地 | ホワイトマン空軍基地(ミズーリ州)など |
B-2は、核兵器や精密誘導爆弾を含む多様な兵器を搭載し、戦略核抑止任務にも対応しています。また、空中給油によりほぼ無制限に航続距離を延ばせるため、どんな場所でも攻撃できる「グローバルストライク」の象徴です。
B-2の最大の特徴は、「レーダーに映らない」こと。
この設計により、B-2は敵のレーダー網を突破し、要人暗殺や核兵器施設への精密攻撃を成功させてきました。また、被発見率を下げるため、特殊な「電波吸収素材(RAM)」で機体全体が塗装されています。
B-2が搭載可能な特殊兵器の代表例が**GBU-57A/B Massive Ordnance Penetrator(通称:MOP)**です。
特徴 | 内容 |
種類 | 超大型バンカーバスター爆弾 |
全長 | 約6.2m |
重量 | 約13,600kg(13.6トン) |
貫通力 | 地下60m以上の鉄筋コンクリートを貫通可能 |
投下高度 | 高高度からの自由落下式 |
誘導方式 | GPS誘導(JDAM) |
このバンカーバスターは、地下深くに隠された指令所や核施設を破壊するために設計されました。通常の爆弾では届かない、地下の「バンカー」=要塞を一撃で無力化します。開発元はボーイング社で、核弾頭は搭載されていませんが、戦略兵器に近い破壊力を持ちます。
B2はこの超重量級兵器を機体の内部兵装庫に2発搭載可能。ステルス性能で敵防空網を突破し、静かに接近し、敵の中枢を粉砕する──まさに「無音の破壊神」です。
さらに、事前に偵察衛星や無人偵察機から送られた情報を元に、精密な位置へ誘導・投下されることで、高い命中率を実現しています。攻撃前に現地のレーダー網や通信施設を無力化する作戦とも連携可能です。
B-2爆撃機は、ステルス技術・超長距離飛行・高精度兵器のすべてを兼ね備えた空の戦略兵器です。バンカーバスターのような「深く潜む脅威」を無力化する力を持つこの機体は、現代戦の在り方そのものを象徴する存在といえるでしょう。
特に地中深くに埋設されたターゲットに対して、空中から正確に対応できる兵器を有する国は非常に限られており、B-2+GBU-57のコンビはアメリカの軍事的優位を象徴する存在です。