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世界一貧しい大統領のスピーチ・全文

ホセムヒカの名言

世界一貧しい大統領のスピーチ・全文

ホセ・ムヒカ大統領・リオ+20会議における感動のスピーチの全文

「世界で一番貧しい大統領」として知られるウルグアイの第40代大統領、故ホセ・“ペペ”・ムヒカ氏は、質素なライフスタイルと富や幸福に関する独自の哲学で世界的な注目を集めてきました 。彼の質素な生活ぶり、大統領公邸ではなく郊外の古い平屋に住み、古い愛車を自ら運転する姿は、多くの人々に感銘を与えました。彼の給与の大部分を寄付する行為もまた、彼の謙虚な姿勢を象徴しています。

2012年6月、ブラジルのリオデジャネイロで開催された国連持続可能な開発会議(リオ+20)は、持続可能な開発、貧困撲滅、経済、社会、環境面の統合に焦点を当てた重要な国際会議でした。世界各国の首脳や高官が一堂に会し、地球規模の課題について協議し、政治文書の採択を目指しました。この舞台でムヒカ大統領は感動の演説をしました。「世界一貧しい大統領のスピーチ」として知られる名演説です。

この会議において、ムヒカ大統領が行ったスピーチは、世界中の聴衆から深い感動を呼びました 。8分間の熱弁が終わると、会場は静寂から一転して大きな拍手に包まれ、その感動は鳴り止むことがありませんでした。このスピーチは、その独特な視点と、既存の発展モデルに対する根本的な問いかけによって、世界中で広く語り継がれることとなりました。以下が「世界一貧しい大統領」のスピーチの全文(日本語訳)です。

ホセ・ムヒカ大統領リオのスピーチ全文・日本語訳

ここに「世界一貧しい大統領」ホセ・ムヒカ氏のリオ+20会議におけるスピーチの全文を掲載します

「あらゆる緯度、あらゆる組織からお集まりのすべての関係者の皆様、誠にありがとうございます。ブラジルの国民とジルマ・ルセフ大統領に感謝申し上げます。先ほどまでにご発言されたすべての皆様の誠意に疑いの余地はありません。

我々統治者は、人類が署名する可能性のあるすべての合意を遵守するという、我々の内なる意志をここに表明します。

それにもかかわらず、この機会にいくつかの質問を声に出して問いかけたいと思います。午後ずっと、持続可能な開発について、貧困の爪から大衆を救い出すことについて話し合ってきました。

私たちの心の中で揺れ動いているものは何でしょうか?それは、豊かな社会のそれを模倣した、開発と消費のモデルでしょうか?私はこの質問をします。もしインドの人々がドイツの人々と同じ数の車を家族あたり所有していたら、この地球はどうなるでしょうか?私たちが呼吸するために残された酸素はどれくらいになるでしょうか?より明確に言えば、今日の世界は、最も裕福な西側社会と同じレベルの消費と浪費を70億、80億の人々が享受することを可能にする物質的な要素を持っているでしょうか?それはいつか可能になるのでしょうか?それとも、いつか別の種類の議論を始めなければならないのでしょうか?なぜなら、私たちは今生きているこの文明、市場と競争の産物である文明を作り上げてきたからです。それは驚異的で爆発的な物質的進歩をもたらしました。しかし、市場経済は市場社会を作り出してきました。そしてそれは私たちにこのグローバリゼーションをもたらしました。それは地球全体を意識することを意味します。

私たちはグローバリゼーションを支配しているのでしょうか、それともグローバリゼーションが私たちを支配しているのでしょうか?無慈悲な競争に基づいた経済の中で、連帯と「皆一緒に」いることについて語ることは可能でしょうか?私たちの兄弟愛はどこまで及ぶのでしょうか?

このイベントの重要性を損なうために、これらのことを言っているのではありません。それどころか、私たちの目の前にある課題は途方もないものであり、大きな危機は生態系の危機ではなく、むしろ政治的な危機です。

今日、人間は自らが解き放った力を支配していません。むしろ、人間を支配しているのは、人間が解き放った力です。そして人生です。なぜなら、私たちはただ無差別に発展するためにこの惑星に来たわけではないからです。私たちは幸せになるためにこの惑星に来たのです。なぜなら、人生は短く、私たちからすり抜けていくからです。そして、どんな物質的な所有物も人生ほど価値のあるものはありません。これは基本的なことです。しかし、もし私の指の間から人生がすり抜けていくとしたら、より多くのものを消費するために働きすぎ、働きすぎ、そして消費社会がエンジンであるとしたら、結局のところ、消費が麻痺すれば経済は止まり、経済が止まれば、私たち一人一人にとって停滞という幽霊が現れますが、それはこの過剰消費が地球を傷つけているのです。そしてこの過剰消費は、大量に売るために、短い寿命の物を作ることで生み出される必要があります。したがって、電球は1000時間以上持続することはできません。しかし、10万時間も持続する電球があるのです!しかし、これらは製造することができません。なぜなら、問題は市場だからです。なぜなら、私たちは働き、そして「使い捨て」の文明を維持しなければならないからです。そして、私たちは悪循環に陥っています。これらは政治的な性質の問題であり、それは私たちに、異なる文化のために戦い始める時が来ていることを示しています。

私は原始時代に戻ることを言っているのではありませんし、「後退の記念碑」を建てようと言っているのでもありません。しかし、私たちはこのように、市場に支配され続けることはできません。それどころか、私たちは市場を支配しなければなりません。

ですから、私のささやかな考えでは、私たちが直面している問題は政治的な問題であると言っているのです。古代の思想家たち、エピクロス、セネカ、そしてアヤマラの人々でさえ、このように言っていました。「貧しい人とは、少ししか持っていない人ではなく、無限に多くを必要とする人、もっともっと必要とする人である。」これは文化的な問題です。

ですから、私は今なされている努力と合意を歓迎します。そして、統治者として、私はそれらを遵守します。私が言っていることの中には、受け入れがたいものもあると承知しています。しかし、私たちは、水危機と環境への攻撃が原因ではないことを認識しなければなりません。原因は、私たちが作り上げてきた文明のモデルです。そして、私たちが再検討しなければならないのは、私たちの生き方です。

私は、生命のための自然資源に恵まれた小さな国に属しています。私の国には、300万人強の人々がいます。しかし、約1300万頭の牛、世界最高級の牛がいます。そして、約800万から1000万頭の優れた羊がいます。私の国は、食料、乳製品、肉の輸出国です。それは低平な平野であり、土地のほぼ90%が肥沃です。

私の同僚たちは、8時間労働のために懸命に戦いました。そして今、彼らはそれを6時間にしています。しかし、6時間働く人は、2つの仕事を得るため、以前よりも長く働いています。しかし、なぜでしょうか?なぜなら、彼は毎月の支払いをしなければならないからです。オートバイ、車、ますます多くの支払い。そして、それが終わると、彼は私と同じように、自分がリューマチの老人であり、人生はすでに終わっていることに気づきます。

そして人はこの問いをします。「これが人間の運命なのか?」私が言っていることは非常に基本的なことです。発展は幸福に反してはなりません。それは、地球上の人間の幸福、愛、人間関係、子供たちの世話、友人を持つこと、基本的なニーズを満たすことのために働かなければなりません。まさにそれが、私たちが持っている最も貴重な宝物、幸福だからです。私たちが環境のために戦うとき、環境の最も重要な要素は人間の幸福と呼ばれることを忘れてはなりません。」

主要なテーマの分析

  • A. 過剰消費と市場社会への批判:

    ムヒカ大統領は、絶え間ない消費に突き動かされた現在の発展モデルは持続不可能であり、必ずしも人間の充足につながるわけではないと主張しました 1。彼の言葉からは、消費によって測られる経済成長が社会の究極の目標であるという根本的な前提に疑問を投げかけていることがわかります。この追求は、より多くの仕事と、真の人間関係や幸福のための時間減少につながる可能性があると示唆しています。彼の個人的な生活は、この批判に信憑性を与え、過剰な消費への警鐘をより強く響かせました。
    さらに、市場経済はあらゆるもの、人間の生活さえも商品化する市場社会を作り上げてきたと指摘しています。ムヒカ大統領によれば、この商品化によって、本質的な人間の価値観から、表面的な物質的追求へと焦点が移り、物質的な豊かさにもかかわらず、空虚感を抱く可能性があると述べています。グローバリゼーションを支配しているのか、それとも支配されているのかという彼の問いかけは、市場の力が私たちの生活や価値観を形成する上で優位に立っていることを示唆しています。
    彼はまた、継続的な消費を煽るために設計された、寿命の短い製品の例を挙げ、このモデルの非効率性と環境への影響を強調しました。計画的な陳腐化は、過剰消費モデルの直接的な結果であり、地球の資源を圧迫する生産、消費、廃棄の悪循環を生み出しています。電球の例えは、市場の売上増進という本質的な動機に対する彼の批判を明確に示しています。

  • B. 人間の幸福と時間の優先:

    ムヒカ大統領は、人生の主要な目的は幸福になることであり、物質的な所有物は時間と真の人間的な経験を犠牲にして得るべきではないと断言しました 7。彼の哲学は、物質的な蓄積よりも内なる平和と満足を重視する古代の知恵と一致しています。彼の質素な生活は、この信念の証となっています。
    彼が、お金で何かを買うとき、実際にはそのお金を稼ぐために費やした人生の時間で買っているのだと述べたことは、特に考えさせられます 9。この視点は、私たちの購入をより意識的に評価することを促し、物質的な利益が、それを獲得するために費やした時間と労力(つまり、人生)に見合うものなのかどうかを検討させます。これは、物質的な所有物よりも時間を優先するというテーマに直接つながる強力な比喩です。
    さらに、人々が消費的なライフスタイルを送るために過度に働き、家族、友人、そして個人的な充実感のための時間がほとんど残されていないことへの懸念を表明しました 7。これは、過剰消費の追求に内在するトレードオフ、つまり、物質的な豊かさの増加が、しばしば非物質的な幸福の側面を犠牲にして実現されることを浮き彫りにしています。二つの仕事を持つ労働者の逸話は、この点を効果的に示しており、消費主義に突き動かされた社会の現実的な結果を示しています。

 

  • C. 持続可能性と地球の限界:

    ムヒカ大統領は、地球には70億、80億の人々が豊かな西側社会と同じレベルで消費し、浪費することを可能にする十分な資源があるのかという根本的な問いを投げかけました 1。この問いは、持続可能性という核心的な問題に直接的に取り組み、現在の消費パターンが普遍化した場合の潜在的な生態学的破局を強調しています。
    彼はまた、過剰消費と「使い捨て文明」によって引き起こされる環境破壊について警告しました 1。ムヒカ大統領は、無限の物質的成長の追求を、資源の枯渇や汚染といった具体的な環境への影響と結びつけています。「使い捨て文明」という言葉は、使い捨ての商品と過剰な消費を優先する社会に対する彼の批判を凝縮しています。
    2013年の彼の別のスピーチからの引用ですが、炭素排出量と、もし誰もが平均的なアメリカ人のように消費するなら、生きるために3つの惑星が必要になるという彼の言及は、豊かな国々の消費がもたらす不均衡な環境への影響を効果的に示しています。これは、もし現在の消費パターンが世界的に採用された場合、それが持続不可能であることを示す定量的な指標を提供しています。

 

  • D. 地球規模の危機の政治的側面:

    ムヒカ大統領は、大きな危機は生態学的危機ではなく、グローバリゼーションと私たちが解き放った力を統御できないことに起因する政治的な危機であると強く主張しました 7。彼は、環境問題や社会問題の解決には、純粋に技術的または個人的な解決策だけでなく、政治的な意志と社会レベルでの優先順位の再評価が必要であると論じています。それを政治的危機と呼ぶことで、ムヒカ大統領は変化の責任をリーダーシップと集団的な意思決定に置いています。
    彼はまた、市場に支配されるのではなく、「市場を支配する」必要性を訴え、経済力に対する社会的な統制の強化を示唆しました。これは、純粋な経済成長と利益の最大化よりも、社会的および環境的な幸福を優先する政策と規制の必要性を示唆しています。これは、最小限の介入による自由市場を強調する新自由主義経済のパラダイムへの直接的な挑戦です。
    別のスピーチからの引用ですが、科学的英知と結びついた高度な政治が、持続可能な未来へと世界を導くために必要であるという彼の見解は、リオ+20会議のメッセージとも一致しています。ムヒカ大統領は、地球規模の課題に取り組む上で、証拠に基づいた政策決定と長期的なビジョンの重要性を強調しています。これは、効果的な解決策を生み出すために、政治指導者と科学コミュニティの協力が必要であることを示唆しています。

 

  • E. 文化価値観の変革への呼びかけ:

    ムヒカ大統領の根底にあるメッセージは、幸福、福祉、持続可能性に焦点を当てるために、物質的な蓄積への執着から離れる根本的な文化価値観の変革が必要であるということです 7。この変革には、「良い生活」の再定義と、真の豊かさは人間関係、健康、時間といった非物質的な側面にあるという認識が必要です。彼の質素な生活は、この代替的な価値観の力強い例証です。
    彼は、エピクロスやセネカといった「古代の思想家」や、少ししか持たない人ではなく、無限に多くを必要とする人が貧しい人だと理解していたアヤマラの人々について言及しました 7。これは、貧困と富の定義が文化的、歴史的に相対的なものであり、現在の物質的な蓄積への執着は普遍的または不変の価値観ではないことを示唆しています。これらの多様な情報源を参照することで、ムヒカ大統領は、富と貧困に対する異なる視点が、可能であり、さまざまな文化や時代を通じて存在してきたという彼の主張を強化しています。
    彼は、基本的な人間のニーズ、愛、人間関係が最も貴重な宝物であると強調しました 7。これは、消費主義に代わる肯定的なビジョンを提供し、真の幸福と福祉に貢献する本質的な人間の価値観に焦点を当てています。これは、無限の物質的な財産の追求に代わる具体的な手段を提供し、幸福を基本的な人間のつながりやニーズに根ざしています。

影響と遺産

ムヒカ大統領のスピーチが世界中の聴衆に強く共鳴したのには、いくつかの理由があります 1。彼の「世界で一番貧しい大統領」というイメージは、彼の消費主義への批判に信憑性と道徳的権威を与えました。このスピーチは、経済発展の支配的なパラダイムに挑戦する、新鮮で示唆に富む視点を提供しました。その分かりやすい言葉と哲学的な深さは、幅広い人々に訴えかけました。スピーチの力は、ムヒカ大統領の言葉と行動の一致にありました。彼の質素な生活は、過剰な消費への彼の批判を信頼できるものにし、影響力のあるものにしました。

この「世界で一番貧しい大統領」のスピーチは、持続可能な開発、代替的な生き方、幸福の追求に関する議論に永続的な影響を与えました。さまざまなメディアや学術的な議論で広く引用され、参照されています。 このスピーチは、GDPを唯一の進歩と福祉の指標とすることの限界についてのより広範な世界的な対話に貢献しました。それは、個人や組織に彼らの価値観や優先順位を再考するよう促しました。スピーチの影響は、即座の感情的な反応を超えて、開発と福祉に関する考え方の長期的な変化に貢献しています。

このスピーチに基づいた、またはこのスピーチに触発された書籍や記事も出版されています 。例えば、彼の2012年の国連スピーチに基づいた「世界で一番貧しい大統領のスピーチ」などがあります。これらの出版物は、スピーチで提示されたアイデアをさらに広め、新たな聴衆に届け、議論を深めています。スピーチが書籍の形になったことは、その価値と、より永続的な形でそのメッセージを求める需要があることを示しています。

結論

ホセ・ムヒカ大統領のリオ+20会議におけるスピーチは、過剰消費への批判、人間の幸福と時間の重視、持続可能性への懸念、そして政治的および文化的な変革への呼びかけという主要な点を要約することができます。

この「世界で一番貧しい大統領」のスピーチは全文を通し、進歩と発展の従来の概念に挑戦する上で重要な意義を持ちます。

気候変動、不平等、そしてますます物質主義的な世界における真の幸福の追求といった現在の地球規模の課題に対して、ムヒカ大統領のメッセージは今もなお重要な意味を持ち続けています。

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